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2019/01/03

年始のご挨拶

明日は仕事始め

「誹諧七福神之内 大黒」
B
香蝶楼豊国画
板元 佐野喜(佐野屋喜兵衛)

ひとゝせを 
 かたりつくせや 
  女礼
黒衣装(くろでたち)の女礼を
大黒天(だいこくてん)と擬(みたつれ)ばそれへ
さし出(だ)す俵熨斗(たはらのし)
年贅物(としたまもの)にうちかけし 
服紗(ふくさ)に画(ゑが)く鼠(ねずみ)の 
婚礼(こんれい)その異名(あだな)にも 
よく似(に)たる此(これ)は 
いづれの嫁(よめ)が君(きみ)かも
応需 柳下亭種彦戯述

「女礼」とは現代では聞き慣れませんが、『日本国語大辞典』を見てみると、

おんな‐れい[をんな‥] 【女礼】 
女が年賀の挨拶にゆくこと。また、その者。女礼者。《季・新年》
*俳諧・発句類聚〔1807〕春「ひと年を語尽すや女礼〈唫風〉」

紋付きの黒留袖は既婚女性の礼装です。
それを七福神の一、大黒天に見立て、
差し出す俵熨斗は絵の左側(女性からは右手)に見えます。
俵熨斗とは、熨斗鮑(のしあわび)を俵の形にくくったものです。

「年贅」の字は見馴れませんが、
『文明本節用集』(室町中期)には、「歳贄 トシタマ」。
『日葡辞書』(1604(慶長9)年頃)には「Toxidama (トシダマ) 新年の一月に訪問したおりに贈る贈物」
とあります。

右下の包み(女性から見て左手)が年玉もの(贈り物)で、その袱紗に描かれているのは鼠。
大黒天と言えば俵と鼠がつきものです。
「鼠の婚礼」は御伽草子などでも有名ですが、ここでは「嫁が君」を引き出す言葉でしょう。

「嫁が君」とは鼠の異称で、正月三が日の間、餅などに寄りつく鼠を忌むために
「ねずみ」と言わずに「嫁が君」と言ったというものともいいます。

『山之井』(正保5(1648)年)に
「すべて正月は、世のつねにかはる事のみぞおほき。鼠を、よめがきみとよび」とあります。

年賀のご挨拶、さすがに「一年(ひととせ)を語りつく」すわけにはいきませんが、これも正月の風景の一つ。

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