2019/01/07

1月7日は人日の節句

五節供(節句)とはつぎの5つ。
1月7日の人日の節供
3月3日の上巳の節供
5月5日の端午の節供
7月7日の七夕の節供
9月9日の重陽の節供

人日の節供とは、古代中国の仙人、東方朔の占書に、正月1日に鶏を占い、2日には狗を占い、3日には羊を占い、4日には猪を占い、5日には牛を占い、6日には馬を占い、7日には人を占うとあることによるといいます。

『事物紀原』(中国の類書)
「東方朔占書曰、歳正月一日占鶏、二日占狗、三日占羊、四日占猪、五日占牛、六日占馬、七日占人、八日占穀、皆晴明温和、為蕃息安泰之候、陰寒惨烈、為疾病衰耗」

また、『荊楚歳時記』に「正月七日為人日、以七種菜為羹、翦綵為人」、七種の菜を羮(あつもの)とするとあります。

日本では、正月初子日(ねのひ)に小松引や若菜摘みをするといった、「子日遊(ねのひのあそび)」、春の野遊びがあり、これと人日の習俗が合わさったものでしょうか。

『国史大辞典』を見ると、つぎのようにあります。

子日遊 ねのひのあそび

 正月の初子(はつね)の日に催された遊宴行事。小松引き・子忌(ねいみ)ともいう。
 『倭訓栞』に「正月初の子日、野辺に出て小松を引きて祝とす、子の日を根延(ねのび)によせて、根ごめにするなるべし、小松も又子松の義に取るなるべし」とある。
 この日山に登り遠く四方を望めば、邪気をはらい憂悩を除くとする中国の風習に拠るとされるが、その根底には、わが国の春の野遊の習俗が存した。
 行事の内容は、小松引きと若菜摘みとがあり、この若菜を長上者に贈り、羹(あつもの)にして長寿を祝った。また、この日、宮中では宴会が行われ、子日宴と称した。

 『続日本紀』天平十五年(七四三)正月壬子(十二日)条に「御石原宮楼(注略)、賜饗於百官及有位人等」とあり、『文徳実録』天安元年(八五七)正月乙丑(二十六日)条に「昔者上旬之中、必有此事、時謂之子日遊也」とみえ、宮中においては、子日の行事は、他の節会などと同様、宴会行事として、奈良時代から催されていた。

七草 ななくさ

 春の七草を入れた七草粥は正月七日に食べる粥。室町時代以後行われる。
 若菜の羹(あつもの)、七草の羹の流れを汲むもので、若菜の儀と同じく万病・邪気を除くとされた。
 「七種之御粥」(『光台一覧』)、「若菜の粥」(『幕朝年中行事歌合』)、「菜粥」(『日次紀事』『日本歳時記』)、「七種菜粥」(『東都歳時記』)などとも呼ぶ。

 粥を煮る前、六日の夜から七日の暁に七草打ちをする。爼板(まないた)に薺(なずな)、または七草を置き、歳徳神(としとくじん)の方に向いて、薪・庖丁・火箸・摺粉木・杓子・銅杓子・菜箸など、台所の七つ道具で爼板を打つ。
 そのとき「唐土(とうど)の鳥が日本の土地へ、渡らぬ先に、なづな七種はやしてほとと」などとトントン拍子をとりながら囃す。江戸では終りのところを逆に「七種なづな」(『近世風俗志』)という。
 この鳥は鬼車鳥、隠飛鳥などいろいろな名で呼ばれ凶鳥とされたので、音をたてて追い払ったのであるが、本来は「鳥追い」で、害鳥を追い払い五穀豊穣を祈る予祝行事が七草粥に結びついたものとみられる。

[参考文献]
『古事類苑』歳時部、山中裕『平安朝の年中行事』(『塙選書』七五)、中村義雄『魔よけとまじない』(『塙新書』五一)

豊国(歌川国貞)「春遊娘七草」(早稲田大学演劇博物館蔵)
A
七草打ち


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2019/01/06

ダウンロードできる平成31年(2019)カレンダー覚書

調べ物をしようと、史料編纂所のHPを見てみると、
「 『史料編纂所カレンダー2019年』1・2月分PDF版を掲載しました。」とのこと。
「花園院宸記」がすてきです。

覚書としてみかけたいくつかをメモ。

東京大学史料編纂所 閉室情報付 1・2月
 http://www.hi.u-tokyo.ac.jp/news/2018/calendar20190102.pdf
 図版解説もある
  http://www.nichibun.ac.jp/ja/images/pdf/2019calendar_bujutsu.pdf

国文学研究資料館
 2月1枚で、表紙と合わせて7枚。
 https://www.nijl.ac.jp/news/img/2019calendar_webA4.pdf

国際日本文化研究センター
12月を1枚で。
 http://topics.nichibun.ac.jp/ja/sheet/2018/12/19/s001/index.html
 3種類有り。
 日文研カレンダー2019_化物・猿飛佐助
 日文研カレンダー2019_武術百勇選
 日文研カレンダー2019_図書館

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2019/01/04

亥年にちなんで

今年は己亥年。
神戸屋キッチンでイノシシ型のチョコパイを見つけました。
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イノシシと言えば「忠臣蔵」五段目
北斎「〔仮名手〕本忠臣蔵五段目」より イノシシ
B

山崎街道 出合いの段 早野勘平と千崎弥五郎
       二つ玉の段 与市兵衛と斧定九郎
この絵はこの二つの場面が描かれていますが、
その間に、イノシシが描かれます。

塩冶藩に戻れなかった勘平は猟師になりました。そこで、出会った元同僚の千崎弥五郎。
勘平の妻の父である与市兵衛は、元塩冶藩士で身を持ち崩した斧定九郎にお金を奪われ殺されます。
その直後、イノシシと間違えられて定九郎は勘平に鉄砲で撃たれてしまいます。

そのイノシシがしっかりと描かれているのがこの絵。

ところで、ボストン美術館に年賀状コレクションがあります。
New Year's Card: Boar Rushing in the Rain”と題されたこの絵は、
明治44(1911)年、辛亥年の年賀状です。
定九郎の姿ははっきりと見えませんが、雨の中の破れ傘でそうとわかります。
そこに向かってくるイノシシ。
定九郎の末路を思うと縁起がいいのか悪いのか。
歌舞伎好きの人の年賀状でしょうか。

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2019/01/03

年始のご挨拶

明日は仕事始め

「誹諧七福神之内 大黒」
B
香蝶楼豊国画
板元 佐野喜(佐野屋喜兵衛)

ひとゝせを 
 かたりつくせや 
  女礼
黒衣装(くろでたち)の女礼を
大黒天(だいこくてん)と擬(みたつれ)ばそれへ
さし出(だ)す俵熨斗(たはらのし)
年贅物(としたまもの)にうちかけし 
服紗(ふくさ)に画(ゑが)く鼠(ねずみ)の 
婚礼(こんれい)その異名(あだな)にも 
よく似(に)たる此(これ)は 
いづれの嫁(よめ)が君(きみ)かも
応需 柳下亭種彦戯述

「女礼」とは現代では聞き慣れませんが、『日本国語大辞典』を見てみると、

おんな‐れい[をんな‥] 【女礼】 
女が年賀の挨拶にゆくこと。また、その者。女礼者。《季・新年》
*俳諧・発句類聚〔1807〕春「ひと年を語尽すや女礼〈唫風〉」

紋付きの黒留袖は既婚女性の礼装です。
それを七福神の一、大黒天に見立て、
差し出す俵熨斗は絵の左側(女性からは右手)に見えます。
俵熨斗とは、熨斗鮑(のしあわび)を俵の形にくくったものです。

「年贅」の字は見馴れませんが、
『文明本節用集』(室町中期)には、「歳贄 トシタマ」。
『日葡辞書』(1604(慶長9)年頃)には「Toxidama (トシダマ) 新年の一月に訪問したおりに贈る贈物」
とあります。

右下の包み(女性から見て左手)が年玉もの(贈り物)で、その袱紗に描かれているのは鼠。
大黒天と言えば俵と鼠がつきものです。
「鼠の婚礼」は御伽草子などでも有名ですが、ここでは「嫁が君」を引き出す言葉でしょう。

「嫁が君」とは鼠の異称で、正月三が日の間、餅などに寄りつく鼠を忌むために
「ねずみ」と言わずに「嫁が君」と言ったというものともいいます。

『山之井』(正保5(1648)年)に
「すべて正月は、世のつねにかはる事のみぞおほき。鼠を、よめがきみとよび」とあります。

年賀のご挨拶、さすがに「一年(ひととせ)を語りつく」すわけにはいきませんが、これも正月の風景の一つ。

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2019/01/02

初夢はいかがでしたか

1月2日というと、初夢は今朝の夢だったのでしょうか。

と、辞書を見てみると

○日本国語大辞典

はつ‐ゆめ 【初夢】
年の初めに見る夢。

(イ)節分の夜から立春の明けがたに見る夢。

*山家集〔12C後〕上「たつ春の朝よみける 年くれぬ春来べしとは思ひ寝にまさしく見えてかなふ初夢」

*俳諧・増山の井〔1663〕正月「初夢 立春の朝の夢也」

*随筆・嬉遊笑覧〔1830〕八「いつにても節分の夜のを初夢とするなり。今江戸にて元日をおきて二日の夜とするものは其故をしらず」

(ロ)大晦日の夜から元日の朝にかけて見る夢。または正月元日の夜の夢。また、二日の夜の夢。宝船の絵を枕の下に敷いて寝ると吉夢を見るといわれる。《季・新年》

*俳諧・曠野〔1689〕二・歳旦「初夢や浜名の橋の今のさま〈越人〉」

*俳諧・改正月令博物筌〔1808〕正月「初夢(ハツユメ) 大晦日夜より元日あかつきにいたるまでに見る夢也」

*随筆・守貞漫稿〔1837〜53〕二三「正月二日〈略〉今夜の夢を初夢と云」

旧暦(太陰暦)と異なり、現代の暦(太陽暦)では、立春と正月が離れているので、このように分かれざるを得ない。
ちなみに、2019年の節分は2月3日で、立春は2月4日、旧元日は2月5日。

日本大百科全書では、

 新しい年を迎えて初めてみる夢。その吉凶で年間の運勢を判断する「夢占(ゆめうら)」の習俗は古く、以前は節分の夜(立春の朝)の夢を初夢としたが、暦制の関係から除夜や元日の夜に移り、やがて「事始め」の正月2日の夜の夢に一定したらしい。

 すでに室町時代には正月2日夜「宝船」の紙を枕(まくら)の下に置いて寝る風習が始まっており、江戸時代に下ると「宝船売り」が江戸の風物詩として広く親しまれるようにもなっていた。七福神の宝船図、「ながきよのとおのねぶりのみなめざめ、なみのりふねのおとのよきかな」という回文の歌などもつとに固定したらしい。

 ともかく初夢に特別の関心が寄せられると、こうした「吉夢」をみようというまじないが生じ、また「悪夢」は宝船に添えて川に流す風習や、夢を食べるという架空の動物「バク」の絵を用いるといった「夢たがえ」の風習も生じた。「夢占」という、夢で吉凶を判ずる庶民の伝統は古いが、とくに年初の「初夢」には関心が強く、こうした「初夢」の習俗をおのずから生ずることになったのである。

世界大百科事典では、

 正月に初めて見る夢のことで,その内容からその年の吉凶を占う夢占の意図があった。  正月2日が仕事始めであるので,2日に見る夢を初夢といい,〈一富士・二鷹・三茄子(なすび)〉を縁起の良い夢の代表とした。一部には〈夢は逆夢〉といい,逆の結果を予想する所もある。

 中国の俗説を受けて,良い夢を見るために,夢を食うという貘(ばく)を描いた紙を枕の下に入れて寝る習俗が,宮中や公家を中心に広まり,室町時代には宝船の絵を敷いて寝るようにもなった。

 江戸時代,とくに浮世絵の隆盛をみる元禄期から,この習俗は一般庶民の間に広まって,七福神も付け加えられ,元日には,〈お宝,お宝〉といって絵を売り歩く宝船売の姿が見られた。

 これらの絵は,悪い夢を見た場合には,翌日の朝に川などに流す習慣で,前年の厄をそれにつけて流し去る意図もあった。元来は,邪鬼を払うための呪具を,枕の下に敷く風習が変化したものである。

 初夢は,西行の《山家集》にも見られるように,古くは節分の夜,すなわち立春の朝の夢をいったらしく,上方にはその風習が残ったが,江戸では大晦日や元日の夜,後には2日の夜を初夢とした。夢は,人間と神仏が交わる回路と信じられており,初夢は,年の変り目という時間のさけめにあたって,夢枕に立つ神仏のお告げを知る夢占の性格が強いのが本来のあり方である。

B国立国会図書館蔵「寶船之圖」

船に乗っている七福神はお馴染みですが、酒壺の上で柄杓を手に踊っているのは猩猩。能の猩猩(孝行息子に汲めども尽きぬ酒壺を与えた)ですが、絵によっては、酒壺と柄杓だけで表現したものも。

七福神と言えば、夷(えびす)・大黒・毘沙門(びしゃもん)天・弁才天・福禄寿・寿(じゅ)老人・布袋(ほてい)。
ただし、寿老人は福禄寿と同体異名だとして、代りに吉祥天または猩猩(しょうじょう)を配することもあるようです。

正月2日は、「事始め」。「吉書始め」に「書き初め」の日。
さて、そろそろお仕事を始める時分でしょうか。

かき‐ぞめ 【書初】

新年に初めて毛筆で文字を書く正月の行事。昔から、一月二日(江戸時代、寺子屋などでは五日)に恵方(えほう)に向かってめでたい意味の詩歌成句などを書いた。ふではじめ。吉書初(きっしょはじ)め。試筆。かきはじめ。《季・新年》

*満済准后日記‐応永一八年〔1411〕正月一日「声明始〈略〉書初等如年々」

*俳諧・玉海集〔1656〕一・春「かきそめの真行草や三ケ日〈重員〉」

*日次紀事〔1685〕正月二日「書初(ソメ)今日公武両家及地下良賤各々試筆。是謂書初」

*浮世草子・西鶴織留〔1694〕一・一「親仁の書初(カキソメ)に毎年さだまって遺言状をしたため」

*諸国風俗問状答〔19C前〕阿波国高河原村風俗問状答・正月・一二「此日書初と申て、先執筆仕、目出度詩又は歌を書候て年徳神へ供」

語誌

起源としては、鎌倉時代より行なわれた武家の「吉書初(きっしょはじめ)」が考えられる。武家の「吉書初」は朝廷で行なわれていた「吉書奏(きっしょのそう)」を模したもので、年首や将軍代始などに行なわれた。また、禅宗寺院でも正月に字をしたためることが年頭の行事として行なわれており、これが庶民に広まったものと思われる。【日本国語大辞典】

美術館・博物館、公園なども今日・明日から始まるところが増えています。
東京国立博物館では、「博物館に初もうで」
これも楽しみの一つ。「吉書」ならぬ「吉画」の見始めもよいものです。

ただ、近年「日本の伝統」というキーワードをやたら聞くようになりましたが、
「伝統」の本質は、「変化」だと私は思います。

「行事」とは、時代に、土地に合わせて何らかの文化・慣習が作り出されたもの。
それが、その時なぜ行われ、改変されたのか、「昔からあるから」「伝統だから」ということではなく、
その由来や来歴、今行うことの意義を理解してこその文化・慣習でしょう。

いや、そんな理屈抜きにしてもイベントは学んでこそいっそう楽しいもの。
お正月という年の区切り、この時期ならではのもの、大いに楽しみたいものです。

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2019/01/01

平成31年 あけましておめでとうございます

あけましておめでとうございます。
最近はすっかりご無沙汰してしまっておりますが、
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

お正月、ということで
「誹諧七福神之内 布袋」

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一陽斎豊国画
板元 佐野喜
「年玉やものとりかはすむつましさ
御手細工の団扇は愛る御宿の童達におくり、戸棚に見えし夜具袋は和尚が傍の布袋に似たり。床にかけたる花入の其名も恰布袋竹。それかれ同さまなれど肥たる形にひきかへていと嬋娟なる姿うつくし
応需 柳下亭種員戯述」

お年玉について、『日本国語大辞典』には次のようにあります。

新年を祝ってする贈り物。江戸時代の町家では、貝杓子(かいじゃくし)、鼠半紙、塗箸、粗製の扇など粗末な物を用いた。年玉物。年玉包み。

*文明本節用集〔室町中〕「歳贄 トシタマ」

*日葡辞書〔1603〜04〕「Toxidama (トシダマ)〈訳〉新年の一月に訪問したおりに贈る贈物」

*高野山文書‐慶長一二年〔1607〕一二月一三日・諸寺諸社造営目録(大日本古文書三・四九一)「四百八拾貫弐百卅二文 正月内衆の年玉よりはじめて諸職人の祝言折々御ふち」

*俳諧・犬子集〔1633〕一・元日「年玉は手ぶりぶりなるお礼かな〈春可〉」

*諸国風俗問状答〔19C前〕紀伊国和歌山風俗問状答・正月・二「四日より寺院の年礼廻り、旦方其外懇意の筋へ為年玉、祈祷札・扇子等を送る」

*人情本・春色梅美婦禰〔1841〜42頃〕二・九回「毎年五月中旬より廓中の茶屋一同に、甘露梅を製して正月の年玉に用ゆ」

語誌

(1)年初に贈り物をする習慣は古くから存在し、宮中での正月の賜物に関する記述は多い。広く盛んになったのは室町時代で、太刀、金子、硯、酒等さまざまな品物が用いられた。特に男児のいる家には毬杖(ぎっちょう=毬を打つ道具)や振々(ぶりぶり=振々毬杖)、女児のいる家には羽子板や紅箱などを贈ったという。

(2)近世には、武士は太刀、商人は扇子、医者は丸薬、などと自分の作った物や家業と関係深いものを贈るようになった。その中でも扇子は広く用いられた。

(3)明治に入っても、年賀の際の簡素で有用な手土産、という性格はひきつがれ、手ぬぐい、略暦などが贈られた。ただ、対象が目下、特に子供に限られてきたようである。子供にこづかいをやる習慣は、一般的には近代以降のものである。

「誹諧七福神之内 布袋」は子ども達に配る手作りの紙細工を用意しているところ。
戸棚の布団袋を布袋さまの持つ袋に見立て、柱の正月飾りに正月らしさが見られます。

子ども達に現金を渡すのは近代の話。
そう言って紙細工でも渡したいところですが、子どもだったときにはお年玉(お金)はうれしかったので、
それを思うと、さて。

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2018/02/01

大日本物産図会 信濃国氷中八ツ目鰻採ノ図

『東洋通信』2018年2月号が届きました。
表紙は冬らしい湖上の氷です。

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『大日本物産圖會』「信濃國氷中八ツ目鰻採ノ圖」
安藤徳兵衛(三代歌川広重)画
大倉孫兵衛板 明治時代
東洋大学附属図書館蔵

明治10年(1877)の第1回内国勧業博覧会に合わせて販売された錦絵で、日本各地の物産を紹介するために作成されたシリーズもの。
                                                                        
「信濃國氷中八ツ目鰻採ノ圖」
八ツ目鰻(ウナギ)は信州諏訪(スハ)の湖(ウミ)に採(ト)るものを名産とす。
上下の諏訪一里計のあひだ、湖水(コスヰ)氷にて張つめたる上に
小家を営(イトナ)み漁夫の休(イコ)ふ所となし、
氷上に薪(タキヾ)を積焚(ツミタキ)て所々に穴を穿(ウガ)ち
延縄(ハヘナハ)に共(トモ)餌(ヱ)を付て釣(ツリ)取(トル)こと移(オビタヽ)し。
又手繰網(タグリアミ)にて石班魚(アカハラ)を採(トル)事おほし。

同じ趣向としては、二代目広重の「諸国名所百景」「信州諏訪湖八ツ目鰻赤魚を取」があります。
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Catching Lamprey, Eel, and Rockfish on Lake Suwa in Shinano Province, 1860, 3rd month

とはいえ、これらに先行するのは寛政11(1799)年刊『日本山海名産図会』です。

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凍結する湖の中でも、諏訪湖は有名です。

諏訪湖の氷上網漁については延文元年(一三五六)『諏訪大明神画詞』に記載されており、それが氷曳網漁の可能性もあるが、氷曳網漁が明確に文献に現われるのは戦国時代末期であるという。……氷曳網はその技法が精緻で規模もこの小湖にしては大きすぎたので、明治期に入って旧藩の保護統制策がくずれると、濫獲の結果消滅していった。その後はゴロビキ(刺網)などが主体となった。『国史大辞典』「氷上漁業」

慶長17(1612)年成立、寛永7(1630)年刊、林羅山の『多識編』(国会蔵本は慶安2(1649)年板)にヤツメウナギの記述があります。

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『浮世物語』〔1665頃〕一・二「痩疲れたるを赤蝦・八目(魚單)(ヤツメウナギ)色々与へて、養性いたしければ」
とあるように、八目鰻の栄養価が高いことは知られていたのでしょう。鳥目の薬としても知られています。

歌枕や名所といった絵と資料を扱った本を少しずつでも読みたいものです。
今回の信濃ヤツメウナギは入っていませんが
鈴木健一さんの『江戸諸國四十七景 名所絵を旅する (講談社選書メチエ)

1 松前昆布
2 外ヶ浜
3 岩手山 など北から始まり、
~47 琉球 南まで。
興味深い一冊です。

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2018/01/01

謹んで新年のお慶びを申し上げます

あけましておめでとうございます。
最近は、Twitterに慣れてしまい、更新がすっかり間遠になってしまいました。

平成30(2018)、戊戌年です。
1月7日(日)に近くの公民館で百人一首講座の最終日として、かるた遊びをいたします。
競技かるたのような一分一秒を争うものではなく、のんびりと遊ぼうという企画です。
普通の活字かるたを予定していますが、ほかに板かるたを用意しようと思います。

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北海道(道東)にいた子どもの頃、
お正月と言えば、親戚が集まってかるた遊びなどをしていました。

花の色は移りにけりないたづらに 我身よにふるながめせしまに 小野小町
秋の田の仮庵の庵の苫をあらみ 我衣手は露に濡つゝ 天智天皇

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「うし」「もれ」とよめれば、子どもも十分参加できました。

板かるたは、江戸後期の会津が発祥であるという説が有力ですが、諸説有るようです。
ただ、北海道では今もこれが一般的な……はず。
私の子どもの頃がいつかはともかく、
職場の20代の北海道出身者が同意してくれましたので、まだ一般的なはずです。

近世前期に成立した、おそらく京都を発祥とする小倉百人一首かるたが
近世後期には各地に広がり、
近代において、北海道の地の果て(小樽の人に言われました)・道東にまで普及したと思うと
興味深いことです。

さて、一方、
近年、伝統文化ブームだという、そのおかげでしょうか。
近所(東京都下)の和菓子屋さんで花びら餅を見つけました。

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「寛永三暦のころ都に上り三四年在京せしうち発句
  花びらの餅や九重けふの春」
(斎藤徳元『塵塚誹諧集』寛永10(1633)年)

都に滞在中の「花びらの餅」。
九重といえば次の歌を思い浮かべることでしょう。

いにしへの奈良の都の八重桜 けふ九重ににほひぬる かな 伊勢大輔
「九重」とは宮中のこと。

宮中行事に由来する遊びや食は、地域や時代によってさまざまに姿を変えています。
1月7日で百人一首講座は一旦終わりますが、
4月からの(別の所の)講座で、近世の行事と絵画の研究を予定しています。

ブログの更新がすっかり滞っていますが、
とりいそぎ、年明け入稿の原稿と校正とシラバスと試験問題が終わり次第に…ぼちぼちとしたいと存じます。

本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

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2017/10/07

2017年10月気になる展覧会

○ボストン美術館の至宝展-東西の名品、珠玉のコレクション
2017年7月20日~10月9日 東京都美術館(東京・上野)

○平成29年夏期企画展「正智院の名宝」
2017年7月15日~10月9日 高野山霊宝館(和歌山・高野山)

○特別展 「浅井忠の京都遺産―京都工芸繊維大学 美術工芸コレクション」
2017年9月9日~10月13日 泉屋博古館分館(東京・六本木一丁目)

○うるしの彩り―漆黒と金銀が織りなす世界
2017年9月2日~10月15日 泉屋博古館本館(京都)

○道成寺と日高川
2017年10月14日~11月26日日 和歌山県立博物館(和歌山)

○天理図書館 古典の至宝 ―新善本叢書刊行記念
2017年9月16日~11月27日 天理参考館(奈良・天理)

○総合展示「近衞家 王朝のみやび 陽明文庫の名宝7 摂関をとりまく人々 書状・消息と日記」
2017年8月26日~10月22日 京都文化博物館(京都・烏丸御池)

○大ダルマ制作200年記念 パフォーマー☆北斎
2017年9月9日~10月22日 すみだ北斎美術館(東京・両国)

○ほとけを支える―蓮華・霊獣・天部・邪鬼―
2017年9月14日~10月22日 根津美術館(東京・表参道)

○ボストン美術館浮世絵名品展 鈴木春信
2017年9月6日~10月23日 千葉市美術館(千葉・千葉)

○葛飾北斎 冨嶽三十六景 ~奇想のカラクリ
2017年9月30日~10月29日 太田記念美術館(東京・原宿)

○歌麿大作「深川の雪」と「吉原の花」-138年ぶりの夢の再会
2017年7月28日~10月29日 岡田美術館(神奈川・箱根)

○江戸の琳派芸術
2017年9月16日~11月5日 出光美術館(東京・日比谷)

○狩野元信とその時代
2017年9月16日~11月5日 サントリー美術館(東京・六本木)

○地獄絵ワンダーランド
2017年9月23日~11月12日 龍谷ミュージアム(京都)

○北斎-大波の彼方へ
2017年10月6日~11月19日 あべのハルカス美術館(大阪・天王寺)

○「フランス人間国宝展」
2017年9月12日~11月26日 東京国立博物館(東京・上野)

○興福寺中金堂再建記念特別展「運慶」
2017年9月26日~11月26日 東京国立博物館(東京・上野)

○開館120周年記念 特別展覧会 国宝
2017年10月3日~11月26日 京都国立博物館(京都)

○広重生誕220周年記念 歌川広重 三つの東海道
2017年8月22日~11月26日 静岡市東海道広重美術館(静岡・由比)

○驚異の超絶技巧!
2017年9月16日~12月3日 三井記念美術館(東京・三越前)

○遙かなるルネサンス展 ─天正遣欧使節がたどったイタリア
2017年9月21日~12月3日 東京富士美術館(東京・八王子)

○特別展 「木島櫻谷―近代動物画の冒険」
2017年10月28日~12月3日 泉屋博古館本館(京都)

○漆芸名品展
2017年10月8日~12月11日 静嘉堂文庫美術館(東京・二子玉川)

○オットー・ネーベル展 シャガール、カンディンスキー、クレーの時代
2017年10月7日~12月17日 Bunkamuraザ・ミュージアム(東京・渋谷)

○近代数寄者の交友録 益田鈍翁・横井夜雨・畠山即翁
2017年10月7日~12月17日 畠山記念館(東京・白金台)

○トゥールーズ=ロートレックと19世紀末パリの版画・ポスター展
2017年10月18日~1月8日 三菱一号館美術館(東京・東京)

○ゴッホ展 巡りゆく日本の夢
2017年10月24日~1月8日 東京都美術館(東京・上野)

○松岡コレクション 屏風と掛軸
2017年10月4日~1月21日 松岡美術館(東京・目黒)

○北斎とジャポニスム HOKUSAIが西洋に与えた衝撃
2017年10月21日~1月28日 国立西洋美術館(東京・上野)

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2017/09/01

2017年9月気になる展覧会

『万葉集』卷第一〇、二一八〇「九月(ながつき)のしぐれの雨に濡れ通り春日の山は色づきにけり」
9月の始まりは雨になりそうです。

○やきもの勉強会 食を彩った大皿と小皿
2017年7月13日~9月3日 根津美術館(東京・表参道)

○ビアトリクス・ポター生誕150周年 ピーターラビット展
2017年7月15日~9月3日 東京富士美術館(東京・八王子)

○地獄絵ワンダーランド
2017年7月15日~9月3日 三井記念美術館(東京・三越前)

○祈りのかたち ―仏教美術入門
2017年7月25日~9月3日 出光美術館(東京・日比谷)

○茶の湯ことはじめⅡ
2017年8月5日~9月18日 畠山記念館(東京・白金台)

○館蔵 中国の工芸
2017年5月23日~9月23日 松岡美術館(東京・目黒)

○書が語る戦国の世
2017年7月3日~9月23日 センチュリーミュージアム(東京・早稲田)

○アルチンボルド展
2017年6月20日~9月24日 国立西洋美術館(東京・上野)

○ベルギー奇想の系譜 ボスからマグリット、ヤン・ファーブルまで
2017年7月15日~9月24日 Bunkamuraザ・ミュージアム(東京・渋谷)

○紙の上のいきものたち!!
2017年7月29日~9月24日 町田市立国際版画美術館(東京・町田)

○月岡芳年 月百姿
2017年9月1日~9月24日 太田記念美術館(東京・原宿)

○ボストン美術館の至宝展-東西の名品、珠玉のコレクション
2017年7月20日~10月9日 東京都美術館(東京・上野)

○平成29年夏期企画展「正智院の名宝」
2017年7月15日~10月9日 高野山霊宝館(和歌山・高野山)

○特別展 「浅井忠の京都遺産―京都工芸繊維大学 美術工芸コレクション」
2017年9月9日~10月13日 泉屋博古館分館(東京・六本木一丁目)

○ボイマンス美術館所蔵 ブリューゲル「バベルの塔」展
2017年7月18日~10月15日 国立国際美術館(大阪・渡辺橋)

○うるしの彩り―漆黒と金銀が織りなす世界
2017年9月2日~10月15日 泉屋博古館本館(京都)

○総合展示「近衞家 王朝のみやび 陽明文庫の名宝7 摂関をとりまく人々   書状・消息と日記」
2017年8月26日~10月22日 京都文化博物館(京都・烏丸御池)

○ほとけを支える―蓮華・霊獣・天部・邪鬼―
2017年9月14日~10月22日 根津美術館(東京・表参道)

○ボストン美術館浮世絵名品展 鈴木春信
2017年9月6日~10月23日 千葉市美術館(千葉・千葉)

○江戸の琳派芸術
2017年9月16日~11月5日 出光美術館(東京・日比谷)

○狩野元信とその時代
2017年9月16日~11月5日 サントリー美術館(東京・六本木)

○「フランス人間国宝展」
2017年9月12日~11月26日 東京国立博物館(東京・上野)

○興福寺中金堂再建記念特別展「運慶」
2017年9月26日~11月26日 東京国立博物館(東京・上野)

○驚異の超絶技巧!
2017年9月16日~12月3日 三井記念美術館(東京・三越前)

○遙かなるルネサンス展 ─天正遣欧使節がたどったイタリア
2017年9月21日~12月3日 東京富士美術館(東京・八王子)

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